転職で給与交渉はしていい?
交渉のタイミングや伝え方のコツとは
転職の目的は様々ですが、中でも給与の額は会社選びをする際に重要な指標となるものです。雇用条件等は満足していても、提示された給与の額に納得できず、できれば交渉したいと考える人もいるでしょう。そこで、こちらの記事では転職活動における給与交渉のタイミングや先方に失礼にあたらない交渉のポイントなどについて見ていきます。
1.転職の際に給与交渉はしてもいい?
そもそも、転職の際に給与交渉はしても良いものなのでしょうか。日系企業では年功序列という考え方が根強くあり、すでに提示されている金額について交渉するのは失礼ではないかとしり込みする人も少なくありません。しかし、基本的に転職時の給与交渉をしてはいけないという決まりはなく、交渉自体はどこの企業でも可能です。一般的に、提示される給与は前職の給与や自社の給与テーブルから算定されますが、自分のスキルやキャリアに見合わない場合や前職、または相場よりも低い金額を提示された場合には、きちんと交渉する必要があります。
ただし、交渉したからと言って必ず主張が通るとは限りませんし、タイミングや言い方を間違えると評価が下がるというリスクも認識しておかなければなりません。また、給与交渉は外資系企業の方が一般化していると考えられがちですが、実力主義であっても交渉態度によっては心証が悪くなるものです。さらに、日系企業も給与交渉を受け入れる傾向にありますので、交渉時に準備や態度に十分注意して、慎重に話を進めるのはどこの企業であっても同様です。
2.給与交渉における現在の年収と希望年収の伝え方
1. 月収だけでなく残業代も含めた年収額を伝える
2. 希望年収は最初の段階で伝える
給与交渉に向けて、お互いの認識が一致するように、基本を押さえておく必要があります。まず、現在の年収と希望する年収について企業に提案しなければなりませんが、企業側が提示してくる金額は税金や社会保険料などを控除する前の額面であることが一般的です。そのため、こちらから現在の年収を伝える場合にも、手取り金額ではなく額面で伝えなければなりませんが、月収だけでなく残業代も含めた金額で伝えるのが基本です。その際、提示した金額の根拠や相手が納得できる理由を添えておくと、先方もそのつもりで検討してくれます。
また、給与額の変更は企業にとっても手続きや審査における重要なポイントとなりますので、希望年収は最初の段階で伝えるのがベストです。最初から希望額を提示しておけば、企業側もコストと人材の有用性について選考するため、希望が通りやすくなります。逆に、内定後に希望額を伝えても受け入れられる可能性は低くなるでしょう。
3.転職時の給与交渉で提示すべき金額はいくら?年収アップの相場
給与交渉の際、どれくらい年収アップの提案をすれば良いのか、相場について悩む人も少なくありません。一般的な相場としては、上限が転職前の年収の1.2倍、月収は1~2万円程度の上乗せとなります。ただし、これはあくまでも平均であり、在職中にスキルや知識を高めたり、経験を積んだりして自分の給与や能力が著しく向上したときや、転職先の企業の規模が大きいとき、相場と大きく異なるときなどはその都度調整が必要です。また、交渉は相手ありきの話ですので、転職先の反応を見て金額を調整するようにしましょう。最初にあえて希望額を高くして、反応を見ながら調整するというテクニックもおすすめです。
4.転職における給与交渉のタイミングはいつ?
転職における給与交渉のタイミングは、大きく分けて3通りあります。
1. 選考過程で面接官から希望年収について聞かれた時
2. 2次面接以降
3. 内定後のオファー面談
まず、選考過程で面接官から希望年収について切り出された場合には、その時に話をするのが最適です。1次面接で給与に関する話が出なかった場合には、自分から話すのは待遇目当てと思われる可能性がありますので避けましょう。その場合は、2次面接以降にタイミングを見計らって交渉するのが無難です。これらのタイミングで交渉ができなかった時には、労働条件や入社日を決める内定後のオファー面談の前、あるいは面談の時に交渉すると良いでしょう。
5.転職時の給与交渉の伝え方とポイント
給与交渉の成否は、主にタイミングと伝え方にかかっています。何の根拠も示さず、単刀直入に金額を提示するだけでは不躾な印象を与え、採用自体が困難になるでしょう。伝えるべきことは伝えますが、相手に納得してもらえるように資料や根拠を提示しながら、理論的に説明をするという姿勢がおすすめです。そのため、対応はあくまでもビジネスライクで、下手に出たり傲慢な態度をとったりすることは避けましょう。どのような状況でも冷静な態度を意識して、自分が提示した給与が妥当な理由や証拠を客観的な視点から挙げていくことが重要です。
6.転職時に給与交渉をするときの注意点
転職は自分にとっても重要な転機ですので、雇用条件に妥協したくないと考えるのは当然です。そのため、給与交渉も必要があれば申し出てみるべきですが、できることならば円満に話し合いを進めたいところです。以下に、給与交渉をするときの注意点について詳しく見ていきましょう。
一方的に条件を押し付けない
できるだけこちらの条件をのんでほしいと焦りがちですが、先方に決定権がある状態で一方的に条件を押し付けるのは悪手です。例えば、何の根拠も提示せずに希望金額だけを一方的に伝えて返答を迫るのは、相手に与える印象が悪くなるので避けましょう。交渉は、元々最初に提示した条件で折り合うとは限りません。まずはその金額を希望する理由と根拠を示し、相手の様子を見ながら交渉できるように、会話のキャッチボールを心がけましょう。また、押し付けではなく、相手に問いかける形で検討の余地を与えるのがおすすめです。
相場とかけ離れた金額を提示しない
企業側は、自社の根拠に基づいて金額を提示しています。そのため、給与交渉では希望金額を伝えること自体は問題ありませんが、相場からかけ離れた金額は悪い印象を与える恐れがあるため、提示しないことが基本です。企業側もある程度給与額を決めるための根拠を持っていますので、業界の水準や相場を把握した上で、先方にも妥当と思われるような金額を提示する必要があります。
7.給与交渉の前に!準備しておきたいこと
給与交渉は駄目元で希望金額を伝えても、成功する可能性は低いです。なぜその金額を希望するのか論理的な理由を説明することで、企業側もきちんと話を聞く姿勢になるでしょう。以下に、給与交渉をする前に準備しておきたいことについて見ていきます。
転職先の平均年収をチェックする
転職先の給与について交渉するなら、まず基本的な情報となるのは先方の平均年収です。企業の規模や業種によって給与の相場も大きく異なりますので、相場から外れた金額を提示しないためにも、平均年収は把握しておかなくてはなりません。さらに、詳しい情報を得るために調べられる範囲で自分と同年代の給与や各職種の平均を調べられると、より精度の高い提案ができるでしょう。企業から情報が得られない場合には、転職サイトで同じ職種の求人を掲載している可能性がありますので、そちらをチェックしてみましょう。なお、マイケル・ペイジでは、役職や職種、業界などを入力することで平均年収が調べられる年収査定ツールを無料公開していますので、こちらを利用するのもおすすめです。
自分の前職の給与やスキルを整理する
交渉に備えて、明確に自分の収入額を把握しておくことも重要です。企業によっては前職の給与をベースに金額を提示してきますので、この額からかけ離れた金額は伝えないようにしましょう。提示額や平均よりも高い金額を求めるならば、企業が把握していない自分の実績やスキルをアピールし、妥当な提案をする必要があります。自分で客観的に判断ができない場合には、プロの視点から金額が妥当か判断してくれる人材紹介会社のコンサルタントなどに相談するのも良いでしょう。
万全な準備をしてスムーズに給与交渉を成功させよう!
このように、給与交渉は納得できる根拠を提示して初めて、交渉の舞台に立てるようになります。給与交渉を成功させるには下準備が不可欠ですし、先方の迷惑にならないタイミングを見計らった上で、適切な給与額を提示する必要があります。スムーズな交渉のために、客観的な自分の能力を把握して、平均年収などの資料から給与アップの根拠を述べられるように準備を整えておきましょう。
転職で相談したい方はご連絡お待ちしております。